松尾潔さんが、ジャニー喜多川さんの性加害の問題に触れたとして、スマイルカンパニーとの契約を打ち切られたことを松尾さんは自身のTwitterで発表しました。
スマイルカンパニーは山下達郎・竹内まりや夫妻が所属する事務所であり、ジャニーズ事務所とも繋がりの深い会社です。
松尾さんが契約を打ち切られたことに関しては、山下達郎・マリヤ夫妻も同意しており、そのことに松尾さんは「残念です。」とTwitterで気持ちを綴りました。
その後松尾さんは7月6日発売の週刊現代連載のコラムに、「スマイルカンパニー契約解除の全真相」と題して詳しい経緯をまとめて寄稿しています。
そのことに対し、山下達郎さんは自身のラジオ番組「山下達郎サンデー・ソングブック」で大切な報告をするとし、7月9日の放送で初めて言及しました。
そこで、今回は山下達郎さんのラジオでの話の内容全文をまとめてみたいと思います。
山下達郎のラジオ全文書き起こし!

それではさっそく「山下達郎サンデー・ソングブック」で語られた全文を見ていきましょう。
ラジオ全文書き起こし!
このたび私のオフィスと松尾潔が契約終了となり、私の名をあげたことでネットや週刊誌で色々書かれております。
まずもって、私の事務所と、松尾氏とはですね。彼から顧問料をいただく形での業務提携でありましたので、雇用関係にあったわけではない。また、彼が所属アーティストだったわけでもなく、したがって解雇には当たりません。弁護士同士の合意文書も存在しております。松尾氏との契約終了については、事務所の社長の判断に委ねる形で、行われました。松尾氏と私は直接何も話をしておりませんし、私が社長に対して、契約を終了するよう促したわけでもありません。そもそも、彼とはもう長い間会っておりません。年にメールが数通という関係です。
今回は松尾氏がジャニー喜多川氏の性加害問題に対して憶測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因であったことは認めますけれど、理由は決してそれだけではありません。他にも色々あるんですけれど、今日この場ではそのことについては触れることを差し控えたいと思います。ネットや週刊誌の最大の関心事はですね、私がジャニーズ事務所への忖度があって、今回の意見もそれに基づいて関与してるのでは。という根拠のない憶測です。今の世の中はなまじ黙っていると言ったもの勝ちで、どんどんどんどんウソの情報が拡散しますので、こちらからも思うところを正直に、率直にお話ししておく必要性を感じた次第であります。
今、話題となっている性加害問題については。今回の一連の報道が始まるまでは漠然とした噂でしかなくて、私自身は1999年の裁判のことすら聞かされておりませんでした。当時、私のビジネスパートナーはジャニーズの業務を兼務していました。けれど、マネジャーでもある彼が、一タレントである私にそのような内情を伝えることはありませんでした。えー、性加害が本当にあったとすれば、それはもちろん許しがたいことであり、被害者の方々の苦しみを思えば、第三者委員会等での、事実関係の調査というのは必須であると考えます。しかし、私自身がそれについて知ってることが何もない以上、コメントの出しようがありません。
私は中学生だった1960年代に初代ジャニーズの楽曲と出会って、ジャニー喜多川さんという存在を知りました。何年か後に初代ジャニーズの海外レコーディング作品を聞いて、私はとても感動して、このサンデー・ソングブックでも特集したことがあります。1970年代の末に、私の音楽を偶然に聞いたジャニーさんに褒めていただいて、そのご縁で数年後に私のビジネスパートナーが近藤真彦さんのディレクターとなったことから、『ハイティーン・ブギ』という作品が生まれました。
その後も、ジャニーズに楽曲を提供する中で、多くの優れた才能と出会い、私自身も作品の幅を大きく広げることができ、成長させていただきました。たくさんのジャニーズのライブに接することができたおかげで、KinKi Kidsとの出会いがあって、そっから『硝子の少年』という作品を書くことができて、昨年の『Amazing Love』まで、彼らとの絆はずっと続いております。芸能というのは人間が作るものである以上、人間同士のコミュニケーションが必須です。どんな業界、会社、組織でもそれは変わらないでしょう。人間同士の密な関係が構築できなければ、良い作品など生まれません。
そうした数々の才能、タレントさんを輩出したジャニーさんの功績に対する尊敬の念は今も変わっていません。私の人生にとって1番大切なことは、ご縁とご恩です。ジャニーさんの育てた数多くのタレントさんたちが、戦後の日本でどれだけの人の心を温め、幸せにし、夢を与えてきたか。私にとっては、素晴らしいタレントさんたちやミュージシャンたちとのご縁をいただいて、時代を超えて長く歌い継いでもらえる作品を作れたこと、そのような機会を与えていただいたことに心から恩義を感じています。私が一個人一ミュージシャンとしてジャニーさんへのご恩を忘れないことや、それから、ジャニーさんのプロデューサーとしての才能を認めることと、社会的、倫理的な意味での性加害を容認することとは全くの別問題だと考えております。作品に罪はありませんし、タレントさんたちも同様です。
繰り返しますが、私は性加害を容認しているのではありません。アイドルたちの芸事に対するひたむきな努力を間近で見てきたものとして、彼らに敬意を持って接したいというだけなのです。ですから、正直残念なのは、例えば、素晴らしいグループだったSMAPの皆さんが解散することになったり、最近ではキンプリが分裂してしまったり、あんなに才能を感じるユニットがどうして。と疑問に思います。
私には何もわかりませんけれど、とっても残念です。願わくば、みんなが仲良く連帯して素晴らしい活動を続けていってほしいと思うのは私だけではないはずです。キンキ、嵐、他のグループもみんな末永く活動をしていってほしいと思うばかりです。先日、男闘呼組の再結成という嬉しいニュースがありましたが、同じようにいつか、近い将来、SMAPや嵐、キンプリの再集合も実現するような日が来ることを、竹内まりやと共に願っております。
性加害に対する様々な告発や報道というのが飛び交う今でも、そうした彼らの音楽活動に対する私のこうした気持ちに変わりはありません。私の48年のミュージシャン生活の中で、たくさんの方々からいただいたご恩に報いることができるように、私はあくまでミュージシャンという立場からタレントさんたちを応援していこうと思っております。彼らの才能を引き出し、良い楽曲を共に作ることこそが私の本分だと思ってやってまいりました。このような私の姿勢をですね。忖度あるいは長いものに巻かれていると、そのように解釈されるのであれば、それでも構いません。えー、きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう。以上が、今回のことに対する私からのご報告です。長々失礼しました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます」
引用元:https://encount.press/archives/483671/
山下達郎さんは約7分に渡りこの問題について言及していますが、要約すると次のような感じです。
- 松尾さんとスマイルカンパニーは業務提携しており雇用関係ではなかったので解雇にあたらない。
- 松尾さんの契約終了は社長の判断で、自分が促したわけではない。
- 松尾さんとはここ数年会っておらず、メールを年に数通かわすのみ。
- 松尾氏がジャニー喜多川氏の性加害問題に対して憶測に基づく一方的な批判をしたことが契約終了の一因であったことは認めますけれど、理由は決してそれだけではない。
- 性加害のことは知らなかった。
- 性加害が本当にあったとするなら許し難い事ですし、第三者委員会の事実関係の調査が必要。
- ジャニー喜多川さんに出会い、ジャニーズで色々なあ人に出会い作品を生み出すことができた。
- 芸能は人間同士の密なコミュニケーションが必須
- ジャニーさんの功績には尊敬の念を抱いている。
- ジャニーさんの才能を認めることと、社会的、倫理的な意味での性加害を容認することとは全くの別問題
- 作品に罪はない
- 性加害を容認しているわけではない。
- ジャニーズ事務所のアイドルたちには経緯を持って接したい。
- SMAPや嵐、キンプリの再集合も実現する日を願っている。
- 今のこの状況下でもジャニーズ時事務所のアイドルたちの音楽活動に対する自分の気持ちは変わらない。
- あくまでミュージシャンという立場からタレントを応援していきたい。
- 良い楽曲を作ることが自分の本文だと思ってやってきた。
- 忖度あるいは長いものに巻かれていると、解釈する人たちには自分の楽曲は不要だろう。
この、山下達郎さんの言及に対し松尾さんは次のような見解を示しています。
松尾潔の見解
松尾潔さんは、ミヤネ屋の取材で「ラジオで話された内容についてどう思ったか」という質問に対し次のように答えています。
松尾さんは、山下さんへの親愛の念を示しつつも、内容には事実を歪めかねない箇所がいくつかあり、また社会的弱者への共感と配慮を著しく欠いていたと指摘しました。
また、具体的には次のような箇所を例にとってあげていました。
①25年間「松尾くん」と呼んでいたのに文中で松尾氏と表現しており、距離が遠いイメージ誘導に感じた。
②ここ数年会っておらず、メールを年に数通かわすのみという言葉も、親しくないんだという情報操作の意図を感じる。
③一タレントだと自身を位置付けつつ、理由は決してそれだけではありません。他にも色々あるんですけれど、今日この場ではそのことについては触れることを差し控えたい、と述べている。一タレントが他にもあるいろいろなことを知っているのはなぜか?また、何か匂わせのような発言である。
④山下さんは、解雇にあたらないと発言しているが松尾さんは解雇という言葉は使っていない。
⑤社長に対し契約を終了するように促していたわけではない。
⑥「解雇」「促した」などの表現を一度も用いていないのにも関わらず、山下さんが自身のラジオ番組で一旦表現を変えた上で否定することに疑問を抱いている。
批判を煽った問題の一文とは?

さて、ネット上でも賛否両論を巻き起こした山下達郎さんのラジオでの発言ですが、特に批判を浴びている一文があります。
それは次の一文です。
忖度あるいは長いものに巻かれていると、そのように解釈されるのであれば、それでも構いません。えー、きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう。
文末に綴ったこの一言が大きな批判を浴びることになってしまったようです。
確かに、この一言は、ファンのみならず街中やテレビやラジオから流れてくる山下達郎さんの曲に慣れ親しんでいた人たちにとっても突き放されたようで寂しさを感じたようです。
さいごに
今回は、山下達郎さんが自身のラジオ番組「山下達郎サンデー・ソングブック」のまとめや、特に批判を浴びる原因となってしまった一文についてご紹介しました。
今後どのようになっていくのか注目が集まりそうです。
最後までごらんいただきありがおうございました。

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