2000年5月3日に起きた西鉄バスジャック事件。
犯人が17歳の少年だったことや、またテレビで中継されたことでも多くの人々に衝撃を与えました。
↓↓↓犯人・谷口誠一の現在についてはこちらをご覧ください。

佐賀県佐賀市から福岡市天神へ向けて出発して程なく事件が起きました。
牛刀を持った犯人・谷口誠一が「バスを乗っ取った」と宣言したのです。
その後1時間の間に女性2人を切りつけ、途中人質が逃げたとして塚本達子さんを刺しました。
塚本さんは出血がひどく、亡くなってしまい、唯一の犠牲者となってしまったのです。
今回は、塚本達子さんがどういう人だったのか、残されたご家族は現在どうしているのかをお伝えしようと思います。
【西鉄バスジャック事件】塚本達子さんの思いとは?
西鉄バスジャック事件で、犠牲者となってしまった塚本達子さんは、子供に寄り添う教育を考え実践していた教育者だったといいます。
まずは塚本さんのプロフィールをご紹介します。
- 名前:塚本達子
- 生年月日:1931年9月21日
- 出生地:挑戦仁川府内里
- 1945年:終戦により引き揚げ
- 1950年:佐賀県西郷小学校に18歳で教諭として着任
- 1979年:幼児教育の重要性を感じ47歳で佐賀市北川副小学校を退職
- 1984年:モンテッソーリ教師養成コース修了、佐賀市内にて「幼児室」開設
塚本達子さんは元々小学校の先生をしていましたが、「小学校では文科省の言うことばかりを聞かなければならず子供と向き合えない」とし、幼児教育の道へと歩みを進めました。
成績で子供を見るのではなく、子供一人一人を見つめて子供の個性を伸ばす教育を目指していたといいます。
事件当日、一緒にバスに乗っており自身も顔や手に切り傷を負った田中由美子さんは、自分の子供が不登校だった頃、塚本さんの主催する幼児室に通いずいぶん助けられたと話しています。
塚本さんは、当時インターネットの登場や引きこもり、不登校などが問題になっていた頃、ちょうど神戸で小学生殺害事件も起きていたような頃、子供たちが置かれている現状に危機感を持っていたようです。
今の学校教育が間違っている、子供たちをほんとに大切にしていない、だけどこの田舎にいて私は何もできない、どうしよう山口さん
引用元:山口由美子さん講演の2004年6月12日の記録
塚本さんはこう田中さんに投げかけたこともあったといいます。
塚本さんが亡くなった後、2000年12月に塚本さんが幼児室で発行していたお便りを塚本さんの長男の方がまとめた本「お母さん わが子の成長が見えますか」を出版しています。

この本は、「幼児期にきちんとした自立教育を行うことで、将来出会うであろうさまざまなストレスに、立派に対処できる心をつくりだすことができる」と信じた塚本さんの言葉が詰まっています。
最近は、荒れる子、無気力な子が多い。しかし、「たくましい子は行動が非常に主体的。自分がやりたいと思うことがはっきりしていて、それにしっかりと向かっている。それは、その行為そのものに魅せられている姿であって、まわりの大人たちに左右されない強いものを持っている」と彼女は言う。幼児教育は人格の形成そのものである。それはそれ以後の人生に確実に影響を与える。この時期に安定した情緒を育み、遊びや作業に集中する機会を与え、挫折感でなく達成感を多く味わえるように導いてやれば、子どもを自信と自立心を備えた強い人間に育てることができる。
塚本さんの友人である田中由美子さんはこの本の出版にあたり次のように語っていました。
先生の命と引き換えに先生の思いは日本中に伝わっていったんじゃないかな、と思って、「やったね、そして、生きるてことと、死ということが、死んでもの言う人、生きてもの言う人、どっちもありだな、その死を無駄にしないために、私はこうやって生かされてるのかな」、あまりそういう風に意味付けはしたくないんですけども、そういう思いもあります。
引用元:山口由美子さん講演の2004年6月12日の記録
塚本達子さんは、子供たちのために今も大切なことを伝え続けているのでしょうか。
そして、西鉄バスジャック事件を起こしてしまった谷口誠一にも塚本さんの思いがもう少し早く届いていればよかったのかもしれません。
塚本達子さんの家族の現在は?
塚本さんには3人の子供がいることがわかっていますが、現在の塚本さんの家族についても情報は見当たりませんでした。
家族にとっては信じ難い辛い出来事だったと思います。
ご長男が、塚本さんの思いを本にまとめて出版するなど、塚本さんの思いをしっかり受け継いで大切にしている様子が伺えます。
さいごに
西鉄バスジャック事件の被害者、塚本達子さんについてお届けしました。
塚本さんは、子供の幸せのために幼児室を主催しており、常に子供を取り巻く環境を憂いて少しでも良くしようと努めていたようです。
このような事件の被害者になってしまったことは本当に残念です。
ただ、友人の田中由美子さんが、バスの中で最初に谷口を見た時追い詰められて苦しそうだったとおっしゃっているのを聞いて、塚本達子さんが何を思ったのかを想像してしまいます。
コメント